前回と同じ著者である精神科医、岡田尊司先生の本を紹介します。境界性人格障害に特化した内容ではないのですが、私自身は母の受け入れ難い言動を少しでも理解するのに役立ちました。もちろん自分自身の根っこにある痛みを探るのにもヒントになる内容が多かったです。
境界性人格障害はもちろんのこと、何かしらの障害とされない人にも、時折抱える苦悩や人付き合いでの躓きについて考えるよいヒントが書かれてあります。
本書は全体を通して、日本近代文学で外すことのできない夏目漱石や芥川龍之介といった文豪だけでなく、『老人と海』で有名なヘミングウェイ、また前アメリカ大統領のオバマ大統領そしてクリントン大統領、ビル・ゲイツといった世界でも成功を収めた著名な方たちの、知られざる彼らの抱える影となる生い立ちからが紹介され、苦悩とそれをどう克服していったかが繰り返し記述されています。
誰でも知っている有名である人物の光の裏にある影を知ることで、親近感を感じると共に、境界性人格障害の特徴として、自分だけが不幸かもしれない、誰も助けてくれないといった思考を訂正するのに気付かされます。
愛着には、安定型、不安型、回避型の3種類があり、人によってその組み合わせや占める割合は異なるようです。安定型でもあるけど不安型のところもある、といった感じでしょうか。そのため、虐待などもなく両親も揃って普通に育った人であっても、その親や親近者の言動などが影響して愛着スタイルを形成していくとのことです。
巻末には愛着スタイル診断テストがあり、誰でも自分の愛着スタイルが何か、また傾向が自分で確認できます。私自身はAの安定型愛着スコアは8点、Bの不安型愛着スコアが14点、Cの回避型愛着スコアが4点という結果でした。そこから、愛着不安が強く対人関係に敏感なタイプという不安型と言うことがわかります。これは驚きも違和感もありません。母はおそらくAの点数が私よりも低く、Cの点数が高い恐れ回避型ではないかと思っています。
日々仕事をしている中でも、この人は分かりにくいなというかたもきっと、この何かしらの愛着障害を抱えながら生きているのだろうなと思うことが多くなりました。