今でこそ本屋にいくとマインドフルネスの書籍はたくさんあり、いろいろな手法でマインドフルのトレーニングが紹介されていますが、初めてこの言葉を聞いたときは、実に曖昧な理解しかできませんでした。
マインドフルと言うのは実際は非常にシンプルな状態をさすのですが、当初の理解は実に抽象的で、感情調節に困惑している自分にはより一層意味不明な言葉でした。
それをグループワークでは、完結にそれぞれ3つの「すること」と「気をつけること」としてまとめられていました。
マインドフルな状態でいるために「すること」の3つのスキル
- 観察する
- 言葉にする
- 体験する
ということです。
1つ目の「観察する」ということですが、何を観察するかというと、「自分自身」「己(おのれ)」になります。内観ともいうと思います。最初は自分の感情や思考を細かく冷静にみるのは難しいです。そもそも観察する状態に自分がいるんだと気づく必要があります。ジェットコースターに乗っていて、ジリジリと高さが最高のところまであがるまでに気付けるのが一番よいのですが、実際は私は感情調節に問題があるため至難の技です。頂点から降下し始めたあとのそこからゴーッと降りていく所は「感情調節不可」状態になっています。自分自身ですら止めることのできない感情の暴れ馬です。気がついたときには、感情の津波がおしよていたりして、観察など悠長なことはいっていられないことしばしばです。
感情や思考に気づくことが難しい場合は、自分の中(感情や思考)だけでなく、身体的な状況をも観察するのもよい練習と思います。震えている、体が力んで強張っているといったことも私は観察するようにしています。私は緊張感が続いたあとは、首回りに痛みが生じます。あと呼吸が浅くなり、胸の上部一部分でしか呼吸をしていない状態になります。観察によりその状態に気付いたら意識的に深く胸に空気を取り込むようにしてゆっくり吐くようにしています。
2つ目の「言葉にする」はまさしく、1つ目の「観察する」し自分の状態に気付いたらその状態を表現する、ことになります。「イライラしているな」「相手に対してむかついてるな」「相手に無視されたと感じて寂しいと感じてるな」と言う感じです。最初は「胸がざわざわするな」でもよいと思います。コツとしては、自分のことなのに少し他人を観察するような表現がいいと思います。「この人怒ってるな」の「この人」が自分なだけなのです。感情や思考への気づきは難しいので、先にも述べたとおり身体的な状態でもいいと思います。「今日は右の首筋が張ってるな」とかでもよいと思います。そこから発展して、直近を振り返って緊張状態が生じる事柄があったかどうかの振り返りができるようになると思います。
3つ目の「体験する」ですが、これも本当に難しいです。ジェットコースターが頂点に達してその後くだっていくあたりでは、もう体験することはほとんど不可能です。感情の津波にもまれて自分もどこに流されているか、どこに向かっているかの判断すらできないです。そのため、この「体験する」ステップまでにはまず自分自身の感情や思考、身体反応を観察して気づき、それを言葉にして一旦他人事のように冷静になる時間稼ぎをする必要があります。その間(ま)が長ければ長いほど、「体験する」ことができるようになってくる感覚で私はやっています。この「体験する」というのは、他の言葉で表すと「味わう」とか「関与する」とも言うようです。
1つ目の壁が実に厚く高いのに、3つ目までたどり着いたとしてそれをどうやるか?が大きな疑問だと思います。
私はイメージを持つことを頼り道具としていますので、観察して言葉にしたあと、その状態の自分自身をシャボン玉の中に入れたイメージを持ちます。そして可能な限りそのシャボン玉にいれた状態を眺めます。
またはその状態の自分自身をあたかも自分の掌にいるかのように、あらゆる角度から眺めます。
そして、自分自身を労るようにします。そっとその掌にいる自分に寄り添うようにします。
この体験することで、次のアクションを起こしたりしないように、別の思考や感情がドミノ倒しのように次々とくるのを止めるストッパーみたいな役目を持たせるように私はしています。
自分を観察し、悲しみを感じている自分を掌に乗せて、じっと見守ります。その悲しみが過ぎるのを待つ感じでしょうか。
マインドフルな状態とは、今の自分の気持ちや思考、身体状態に気付いているというだけの実にシンプルな状態なのですが、感情調節に苦しんでいると、1つ目の「気づく」というのは不可能に感じます。ただ朗報といいますか、私自身消えてしまいたいと言う空虚感を毎日抱えて生きていた私でも、半年ほどで自分でも気づく成果がみられました。それは、マインドフルネススキルは練習することで必ず身につけられるスキルだというなによりもの証拠です。
私自身はもう一人の冷静な分身を頭の中にイメージして、その冷静な自分にこの観察をしてもらうようにしている、というイメージで行います。私は自分自身が塞がっている状態を見て「落ち込んでいるな」ともう一人の自分が気づきます。その時点で、すでにマインドフルネススキルの1つ目と2つ目を完了した状態です。
私自身がよく陥るパターンで例をみていきたいと思います。
携帯電話に母からの着信履歴を見た。一体何の用事だろうと思い、胸がざわつく。いったんその日は電話せずに、翌日に電話を試みるも、母が電話にでない。
こういったときは決まって、気分がふさがります。母に何かあったのではないか。昨晩の電話にすぐにでなかったため、母はおこっているのではないか。と私はブルーな状態になります。
これをマインドフルネススキルを使うと次のような流れになります。
1つ目、私自身を観察します。言葉数が少なくあり、無表情となります。主人や子供が話してくる内容に集中できなくなります。呼吸が浅くなります。胸の浅いところでしか呼吸をしていません。私の内面を見ていきます。
母は私が子供の頃から希死念慮があることを何度か言ったりほのめかすことがよくあったために、電話にでないというのは私自身は悪い予感を自動的に考えます。
それは、もしかしたらどこかで倒れているのではないか、といった思考や、母自身も無表情でふてくされた顔をしている映像を頭の中で想像したりします。
2つ目は、観察したことを、思いつく限り言葉にします。
気持ちが塞がっているな
心配しているな
後悔よりも、母と話すときに今度どういった罵声を浴びされるか恐怖心を感じているな
3つ目に、この状態をしばらく眺めます。母に罵声を浴びせられるかもというのは、この時点では完全に頭の中の妄想です。過去にそういうったことがあったので、そう考えてしまうのは自然なことなので、そう考えてしまうのは仕方ないことだ、といったんその自分を受け止めます。そして過去はそうであったが、今の今はそうではない、と自分自身に言い聞かせます。
マインドフルな状態であるために3つの「すること」スキルは、まずは「マインドフルでない」「マインドレス」な自分であることに気づくことが重要です。
そして、その状態を観察し、それを言葉にできるスキルが必要です。そして、その状態からやけっぱちになったり、さらに感情の渦にのまれないために「味わう」体験が必要です。
この3つの「すること」スキルを行なっていくうえで、よりマインドフルである状態を強化するために3つの「気をつけること」があります。それは別ページでみていきたいと思います。